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資金調達を成功させる事業計画書の書き方 - アントレ起業・準備ガイドブック【起業・経営で必要な物事・サポートをまとめてそろえる】

資金調達を成功させる事業計画書の書き方

資金調達を成功させる事業計画書の書き方

事業計画書とは、「企業がどのような事業を今後計画的に行っていくか」を社内外に示す、重要なものです。
しかし意外なことに、事業計画書をきちんと作成していない企業も、多く存在しています。「経営者の頭の中に事業計画書がある」、あるいは「変化の激しい時代、どうせ方針は変わるのだから作っても仕方がない」というのが主な理由のようですが、これはもったいないことです。
事業計画書によって、企業がどこに向かっているのかを内外に示すことができますし、銀行から融資を受けたり、投資家から資金調達を受けたりする際に有効な場合もあるからです。
この記事では、過去に金融機関で3万社以上の中小企業への融資を担当していた著者が、事業計画書の目的やメリット、作成時の注意点や書き方についてなどをわかりやすく解説します。

1 作成する目的などによって効果的な事業計画書は異なる

事業計画書を作成する目的としては、自社内で事業計画を共有する、社外に対し企業の魅力を伝えて優秀な人材を確保する、金融機関やベンチャーキャピタルなどに開示するなどがあります。

事業計画書は、作成する目的や開示する相手に応じて、書式や記載する内容を工夫することが重要です。

例えば社内で共有することが目的であれば、「業績が上がれば給料にも反映する」という趣旨を盛り込むと、社員のモチベーションを高める効果が期待できます。

資金調達が目的の場合、補助金、銀行融資、ベンチャーキャピタルの出資など、資金提供者によって効果的な内容が異なります。

2 銀行に事業計画書を提出するメリット

創業時や新規事業を立ち上げるときなど、何か大きな変化を伴う場面においては、銀行から事業計画書の提出依頼を受けることが多いものです。

しかし、私は銀行から依頼がなくても、自ら積極的に事業計画書を提出すべきだと考えています。それは、次のようなメリットがあるからです。

1)融資担当者が自社のことを理解してくれる

銀行へ融資を依頼した際に、事業計画を口頭で説明するだけでは、時間がかかるうえにうまく伝わらない可能性があります。融資担当者が知りたい情報を盛り込んだ事業計画書を提出すれば、短時間で明確に伝わります。

2)融資の審査期間の短縮化

事業計画が融資担当者へ早く伝わると、融資の審査期間の短縮化が期待できます。

口頭でやり取りをすると、相手が不在のときなどがあり、すぐに数日が経過してしまいます。事業計画書に審査のために必要な情報が記載されていれば、そうしたタイムラグがなくなるので、担当者が稟議書を作成するスピードが上がります。

もちろん内容にもよりますが、稟議書が上司へ回ったときにも、事業計画書があれば説得力が増すことが期待できるので、審査がスピーディーに行われるのです。

3)審査にパスする確率が高まる

最大のメリットは、審査にパスする可能性が高まるということです。もし決算書など数字に難があり、信用格付けが低い場合、審査のハードルは高くなります。

しかし、事業計画書に経営改善の具体策を記載し、今後の収益向上の見込みを示すことができれば、銀行は過去の数字だけではなく将来を見据えた審査判断をしてくれるでしょう。

3 事業計画書作成上の留意点

私は金融機関の融資審査担当として働いていたときに数多くの事業計画書を見ましたが、中には審査でプラスに働かないものも散見されました。

このような場合、金融機関の担当者から質問や追加資料を何度も求められることがあります。「また追加資料か。まとめて言ってくれよ」などと思うかもしれませんが、質問への回答や提出資料は、各段階での審査結果に影響するので、的確な回答や資料を提出しましょう。

せっかく事業計画書を提出するなら、銀行のチェックポイントを押さえて作成することが重要です。そこで、事業計画書を作成する際に留意していただきたいことを説明します。

1)「計画」だけを書くのではない

事業“計画書”なので、「今後の計画を書けばいい」と考えている経営者は少なくありませんが、それだけでは不十分です。

融資担当者に理解してもらえるように、企業の定性情報(数字以外の情報)など、計画以外の情報も盛り込むことが重要です。例えば次のような項目です。

1. 企業の沿革
2. 代表者・経営陣のプロフィール
3. 従業員・パートの状況
4. 現状のビジネスモデルの概要・商品やサービスの内容
5. 取引先(販売先・仕入先・外注先)と取引条件(「月末締め翌月末回収」など)
6. 市場環境・競合状況・自社の特徴や強み
7. ここ数年の業績に関するコメント
8. 解決すべき問題点や課題
9. 新たに取り組む計画(設備投資・新規事業など)と具体的施策
10. 今回の借入金の資金使途と効果
11. 収支見通し
12. 当面の資金繰り計画

こうした項目があると、企業の概要が分かるとともに、これから取り組む施策と数値計画が理解しやすくなります。

上記1.~5.は、すでに融資取引のある銀行であれば、ある程度把握していますが、最新の状況を伝えることに意義があります。
また、これだけの項目を記載すると膨大な量になりがちですが、できるだけ簡潔明瞭にするほうが、忙しい銀行員には伝わりやすいものです。

融資を受ける目的の場合、PowerPointを使ってビジュアルに凝ったものを作成するよりも、シンプルに文字中心で読みやすく作成した資料のほうが適しています。WordやExcelを使用して、多くても10ページ以内に収めるといいでしょう。

事業計画書のテンプレート例としては、日本政策金融公庫もテンプレートを公開しています。創業時・借入時に必要なものや、企業概要書などもダウンロードできるので、ぜひ参考にしてみてください。

日本政策金融公庫 各種書式ダウンロード

2)数値計画は根拠が重要

事業計画書の最も重要な部分は数値計画(上記の9.~12.)ですが、単に今後5年くらいの数字を表にするだけでは意味がありません。

融資担当者がチェックするのは、数値計画の実現可能性です。特に向こう1年くらいの収支見込みについて、根拠があるかどうかが問われます。「売上が毎年10%増加する」といったものがよく見られますが、経済環境の変化が激しい中で、安定的に成長する事業はそれほど多くはありません。

根拠を説明するのは容易ではありませんが、例えば「設備投資によって取引先A社からの受注が月100万円増加する」など、できるだけ具体的な根拠や裏付けといったものを記載してください。当然、その根拠を求められることも想定しておかなければなりません。

3)過度な脚色やバラ色の計画はNG?

事業計画書を作成する際に、審査にプラスに働くようにと意識して作成しがちなのが、過度な脚色やバラ色の計画です。

過度な脚色とは、例えば、客観的な比較データが乏しいのに「うちの製品は競合他社のものと比較して圧倒的に性能がいい」などと書くことです。バラ色の計画とは、市場分析や競合分析が甘いのに、売上が大きく右肩上がりに伸びていく計画のことです。

これらがなぜNGかというと、うまく融資を受けられたとしても、来期の決算書を提出したときに結果が伴っていなければ信用が低下する懸念があるからです。

銀行と長期的に良好な関係を構築するためには、客観的なデータや根拠に基づく、手堅い事業計画書を提出するのが鉄則です。

4 まとめ:年に一度は事業計画書を作成しよう

私の経験では、ほとんどの経営者は、事業計画を常に考えています。しかし、頭の中にあるだけで、事業計画書としてまとめている経営者は3割にも満たないと感じています。

資金調達をするときになってから、頭を抱えながら事業計画書を書く経営者が多いのが実態です。

経営者の方々に、「せっかく頭の中に事業計画があるのだから、年に一度は事業計画書にまとめましょう」とお勧めしています。タイミングとしては、融資を受けたいと思ったときではなく、決算が終わったときや年末年始など、区切りの良いときがベストです。

毎年その時期になったら、事業計画書を作成すると決めて、恒例行事にするといいでしょう。
全てを経営者1人で考えるだけではなく、経営陣や社員とブレインストーミングをすると、斬新なアイデアが出てくるものです。

ある地方の老舗企業は、上場企業ではないにもかかわらず、毎年、税務申告をした直後に、金融機関や取引先に集まってもらい「事業計画書発表会」を開催しています。

その場で、前期決算の状況説明とともに、今期の取り組みと数値計画を発表しています。
これにより金融機関からの信用は厚く、業績がやや悪化したときでも資金調達は円滑にできています。

発表会の開催は大変だとしても、毎年1回は事業計画書を作成して、取り引きのある金融機関へ提出することをお勧めします。

融資が必要になってから、あわてて事業計画書を作成するよりも、実態に即した説得力のあるものができるからです。

もちろん、その際は今回解説した「銀行から融資を受けるために適した事業計画書」を意識した内容としてください。

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2018年9月14日時点のものであり、将来変更される可能性があります。(記事提供元:りそなCollaborare)

●プロフィール

上野光夫

株式会社MMコンサルティング 代表取締役・中小企業診断士 1962年鹿児島市生まれ。九州大学を卒業後、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)に26年間勤務し、主に中小企業への融資審査の業務に携わる。3万社以上の中小企業への融資を担当した。融資総額は約2,000億円。
2011年4月にコンサルタントとして独立。起業支援、資金調達サポートを行うほか、研修、講演、執筆など幅広く活動している。
リクルート社『アントレ』などメディア登場実績多数。
著書に「起業は1冊のノートから始めなさい」(ダイヤモンド社)、「『儲かる社長』と『ダメ社長』の習慣」(明日香出版社)、「事業計画書は1枚にまとめなさい」(ダイヤモンド社)などがある。

元記事はこちら
アントレSTYLE MAGAZINE
https://entrenet.jp/magazine/18265/

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