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個人事業主が法人成りをする時の資産・負債の対処法 - アントレ起業・準備ガイドブック【起業・経営で必要な物事・サポートをまとめてそろえる】

個人事業主が法人成りをする時の資産・負債の対処法

個人事業主が法人成りをする時の資産・負債の対処法

個人事業主として活動していれば、資産や負債が発生しているかと思います。こういった資産は、法人成りをした際にどのように扱えば良いのでしょうか。
資産は法人に引き継ぐことができるのですが、引き継ぎ方法は、いくつか種類があります。ここでは引き継ぎにおける対処法を紹介していきます。

引き継ぐ時の3つの方法とその特徴

法人成りの場合、基本的に最初は個人事業主としての事業活動を延長して行っていくことになるため、必要な資産は個人事業主時代と同じものとなります。
その際、個人事業主から法人に不動産や商品などを引き継ぐ形になりますが、引き継ぎ方にも3つの種類があります。売買契約、現物出資、賃貸借契約です。ここでは、それぞれの種類と特徴について紹介していきます。

1.売買契約

文字通り、個人事業主が持っている資産を法人側に売却するという引き継ぎ方法になります。売却を行うため、金銭のやり取りが発生し、資金が必要となります。ただ、どちらも関わる人間は同じとなるため、取り引き自体はいたってシンプルなものとなります。一括の支払いが必要なわけでもないので、資産によって返済期間を定めて分割の形で返済を進めれば良いこととなります。
利息についても同様で、設定してもしなくても問題ないでしょう。個人事業主側としては、引き継ぎ資産によって譲渡所得になったり事業所得になったりします。法人側も同様に資産によって仕入れになることもあれば中古資産を購入という形になることもあります。
この引き継ぎ方法のメリットとしては、後に紹介する現物出資と比べて費用やかかる期間を抑えられることにあります。事前に多少の資金が必要となる点をクリアできるのであれば、取り引きにシンプルさと期間と費用のメリットからこの選択肢を取ると良いでしょう。

2.現物出資

現物出資は売却とは異なり、個人事業主側から資産を出資する形となります。この場合、金銭以外の出資という形となり、法人の資本金を増やすことができます。個人事業主側からすると、出資をすることで株式を受け取ることとなり、特に金銭面でのやり取りは発生しない形となります。
現物出資の対象にできるものは多く、賃借対照表に載せられるものであれば基本的に対象とすることができます。そのため、有価証券や不動産、システムやソフトウエアのような無形の資産であっても現物出資の対象とすることができます。
逆に、賃借対照表に載せられない信用度の大きさなどは出資の対象とすることはできません。この引き継ぎ方法のメリットとしては、法人成りのタイミングでまとまった資金が必要ではないということです。資本金を増やすために資金を用意するのではなく、資産を法人に出資する形になるためです。
ただ、本当はそこまで価値がないのに、あたかも価値があるかのように見せるような、実体の伴わない出資はきちんと検査が必要となります。価値が500万円以下、市場価格より低く引き継ぐ有価証券、弁護士や税理士などから価値の正当性の証明を受けた場合を除き、定款への記載や裁判所が選んだ検査役からの検査が必要とされています。

3.賃貸借契約

賃貸借契約とは、こちらも文字どおり個人事業主の時代に持っていた資産を法人に貸す形態のことです。資産を持っている人間は個人事業主側になるため、引き継ぐというよりは純粋に賃貸契約という認識が近いでしょう。
資金面や、その他の理由で引継ぎ・出資ができない場合に、事業を継続して行うための手段として選ばれることがあります。売却や出資の場合、その後、個人事業主は廃業する場合がほとんどのため、個人事業主としての確定申告は最終年度で終わりますが、資産自体は個人事業主に帰属しており、賃貸の対価が入ってくるため個人事業主としての確定申告は引き続き続ける必要があります。
この方法を選ぶメリットとしては、賃貸契約となるため売却する場合と比較して、まとまった資金が必要ないことがあげられます。ただ、賃料が相場から大きくずれている場合は、税務関係でのリスクが生じることがあるため注意が必要です。
デメリットとしては、不動産などを賃貸借契約にしていて仮に経営者が引退した場合、引退する経営者に資産は帰属しているため、ゆくゆくは資産が減ってしまう可能性もあります。また、取引先や証券会社、投資家から見ると法人に資産が帰属していないことは基盤が安定していないという評価になることもあり、後に上場を考える際に大きく影響が出てしまう可能性もあります。手段として賃貸借契約を取らなくて良い状態であれば、取らない方が良いでしょう。

資産、負債を引き継ぐ場合に注意すべき点

ここまで法人成りする場合に、資産や負債を引き継ぐ方法について紹介してきましたが、実際はどんな資産や負債を引き継ぐことになるのでしょうか? ここでは引き継ぐ資産・負債の種類ごとに特徴を紹介していきます。紹介するのは棚卸資産、固定資産、売掛金・貸付金・買掛金、借入金の4種類です。

1.棚卸資産

基本的に商品が該当します。棚卸資産の引き継ぎの場合は、売買契約か現物出資で引き継ぐこととなります。価格については通常販売価格の70%以上で設定することが必要です。注意点としては、ずっと棚にあるような商品や傷がついているもの、時期的に今売れることが想定されないものは価格を付けることが困難になるため、個人事業主として売り切るか処理することが必要となります。
通常販売価格の70%未満の価格で設定してしまった場合、低額での譲渡として別途税金が課せられることがあり、個人の場合は所得税に、法人の場合は法人税に載せられることになります。

2.固定資産

不動産や社用車、ソフトウエアなどがこれに当たります。固定資産の場合は、どの引き継ぎ方法でも行うことができます。売買契約や現物出資を行った場合、個人事業主側は事業で得た所得ではないため譲渡所得となります。こちらについては50万円までの資産であれば非課税で引き継ぐことができますが、不動産などを譲渡する場合、多くの売却益が個人事業主側に計上されることとなるので、所得税に跳ね返ってくる可能性があります。
法人側に不動産を譲渡する場合、所得税のほかにも登録免許税や不動産取得税が課せられることになります。賃貸借契約を活用できるのはこの固定資産の引き継ぎで、個人への大きな売却益や法人側への税負担を軽減することができるため、法人成りをしたばかりの場合は固定資産については賃貸借契約を検討しても良いかもしれません。

3.売掛金・貸付金・買掛金

こちらは売買契約でも現物出資でもどちらでも引き継ぎが可能です。引き継ぐ場合はかなり複雑な処理が必要となるため、個人事業主として処理することが可能なのであればその方が良いでしょう。どうしても引き継ぐことが必要な場合は、別途税理士などへの依頼を検討してもよいでしょう。

4.借入金

借入金についても、売買契約でも現物出資でも対応が可能です。引き継いだ場合は借入金にかかる利息を法人の経費として計上することができます。注意点としては、借入金の引き継ぎには個人事業主から法人への名義変更を行わなくてはいけなくなるので、金融機関に承諾を得る必要があるということです。
また、担保が発生している借入の場合、価値の見直しによって追加の担保が必要になるケースもあるため、事前に確認するようにしましょう。

それぞれの特徴をふまえて、状況に合わせた引き継ぎを

それぞれの資産に対し、状況によってどの方法で引き継いだら良いのかが変わってくることが分かったかと思います。法人成りする際には、状況を冷静に見極めて対処していくようにしましょう。

元記事はこちら
アントレSTYLE MAGAZINE
https://entrenet.jp/magazine/19198/

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