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設立費用だけで選ぶと失敗する! 税理士が合同会社より株式会社の設立を強く勧める理由 - アントレ起業・準備ガイドブック【起業・経営で必要な物事・サポートをまとめてそろえる】

設立費用だけで選ぶと失敗する! 税理士が合同会社より株式会社の設立を強く勧める理由

設立費用だけで選ぶと失敗する! 税理士が合同会社より株式会社の設立を強く勧める理由

独立・起業をするにあたり、個人事業主として事業を立ち上げるか、法人化(株式会社や合同会社の設立)をするか、迷う方も多いでしょう。

前回、個人事業主か法人化していくか迷っている方に向けて、会社設立のメリット・デメリットをお伝えしました。
フリーランス必見! 意外と知られていない会社設立のメリット・デメリットを税理士が解説

そしていざ法人化することを決めたとしても、「株式会社」と「合同会社」という選択肢があることを知り、これもまたどちらにするべきか迷われる方も多いのではないでしょうか。

「株式会社」と「合同会社」。今回はこの2つを比べてどちらの選択肢を取るべきかをテーマにお話していきたいと思います。

先に結論を申し上げると、基本的に私は「株式会社」を設立するべきだと考えています。

設立費用やランニングコストなど、あらゆる面で費用が安いことから、合同会社が選ばれる傾向が高い昨今(2019年の新設法人はおよそ4社に1社が合同会社と言われています)。

ですがそれ以上に合同会社にはデメリットも多いのです。本稿ではその理由を解説します!

そもそも、株式会社と合同会社の違いって?

株式会社も合同会社も「法人」であることには変わりません。

法人についての解説はこちら

税金の計算は「法人」と「個人事業主」では大きく仕組みが変わりますが、「株式会社」と「合同会社」での法人の税金の仕組みに違いはありません。
(合同会社で法人名を英文表記する場合には「LLC」と書きます。なんだかカッコいい気もしますね。)

ここで「株式会社」と「合同会社」のそれぞれの大まかな違いを見ておきましょう。

<株式会社>
①出資者(=株主)は有限責任のため、出資額以上の責任は追わない
②出資者と経営が分離する(つまり株主と経営者は別の人物)
<合同会社>
①出資者全員が有限責任社員のため、出資額以上の責任は追わない
②出資者と経営者が同一

中には1人で出資と経営を担っている株式会社もあります。そういう意味では合同会社と近似している場合もありますね。
本質的な違いを抑えたうえで、それぞれの違いを少し細かく見ていきましょう。

合同会社のメリット

メリット① 設立費用が株式会社より約14万円安い

合同会社を選ぶ理由。その多くは設立費用の安さにあると思います。

それでは実際にどれくらい違うのでしょうか。最低限かかる費用でそれぞれ比較してみましょう。

<株式会社の場合>
・定款の認証手数料:50,000円
・設立にかかる登録免許税:150,000円
合計:200,000円
<合同会社の場合>
設立にかかる登録免許税:60,000円
合計60,000円

⇒「合同会社」の場合、定款を認証してもらう必要がなく、その分安くなります。

株式会社と比較して約14万円の差(安くなる)があるので、設立時に費用を抑えたい方は「合同会社」を選ぶ方が多いです!

ちなみに「定款」とは会社の基本的なルールブックのこと。定款には、主に会社の目的、商号(会社名)や所在地、また株主と経営者との間の取り決めなどが書かれています。

メリット② ランニング費用「公示費用」+「登記変更費用」がなし

・公示費用(官報掲載費等)
「株式会社」の場合、毎年6万~7万円程度の官報掲載費が発生します。
⇒年に1回、決算情報を公示する義務があるため、国が作成する新聞に載せる必要があります。

一方「合同会社」の場合、官報掲載費=0円
⇒決算情報の公示義務がありません
そのため、毎年のランニングコストを抑えることができます。
ただし「株式会社」でも決算公告を、インターネット上でホームページに載せるなどの電子公告を利用することで、無料~1万円程度に抑えることができます。

・役員の任期ごとの登記変更費用
「株式会社」の場合、登記の変更に費用がかかります。
例えば取締役の任期を最長10年に設定すると、10年ごとに実費だけで約1万円程かかります(専門家に依頼する場合は実費に加えて3万円~5万円程度追加でかかります)。
※取締役や監査役等の役員が多い会社ですと、任期が来るたびに費用負担がさらに増します。

「合同会社」の場合、役員の任期がないため「登記変更費用」がないということもメリットとして挙げられます。

メリット③ 出資金額に関わらず一人一議決権。配当も自由な配分にできる

「合同会社」の場合、出資者は出資額に関係なく全員平等に一人一議決権を持ちます。

「株式会社」の場合、1人1票ではなく議決権の数は出資額(持ち株数)に応じて決まります。同じように配当の配分も出資額に応じて決めます。
つまり出資額によっては1人で100票を持っている人がいてもおかしくない、ということですね。

そのため「株式会社」に比べ「合同会社」の方が、議決権の多い出資者の意見に振り回されることなく、一出資者の意見が反映されやすいと言えるでしょう。

ただし「株式会社」の場合も「合同会社」の場合も、決議に必要な議決権の数、出資者に対する配当割合も、例外を設けることができます。

また「合同会社」は「株式会社」と異なり、監査役の設置や株主総会を開く必要はありません。

合同会社のデメリット(意外と知られていない落とし穴)

①信用性が低い(怪しく思われる)

そもそも世間一般での認知度は「株主会社」に比べ「合同会社」は低いことでしょう。
実際に私が合同会社を立ち上げた時に経験したのですが、取引先や銀行から「なぜ株式会社ではなく、合同会社なのですか?」と尋ねられるケースが少なくなく「そもそも合同会社とは何ですか?」と聞かれることもあります。
正直、その度に説明をするのは少々手間です。

また銀行融資の際には「合同会社は株式会社と比べて、信用力において差はない」と言われており、合同会社でも不利ではないように思えます。

しかし本当に差がないかというと、そうとも言い切れないのが事実です。

これは私の個人的な意見ではありますが、建前上、同じ法人として信用力に差がないといえど、与信判断をする際に多かれ少なかれバイアスがかかるのでは、と思っています。

株式会社に比べ、設立費用を抑えて設立できることからも、法人としての実態がない会社もあり怪しいイメージが横行していることもあります。

このように「信用性」という観点から、法律の制度上では想定していなかった事実上の差はあると考えられます。

②「合同会社」→「株式会社」に変更するのは費用が高額&約1か月以上かかる

設立費用を安くするために「合同会社」を設立したけれど、実際さまざまなデメリットを感じ、途中で「株式会社」にしたいと思う方は多くいます。
その際、費用は登録免許税や官報への公告費などで最低15万円ほどかかります。

実際に私も、出資額に応じて議決権を配分したり、将来株式を譲渡したいと思うようになり「合同会社」を「株式会社」へ変更(正確には組織変更と言います)したのですが、その際登録免許税などの実費や、司法書士などの専門家へ依頼する費用も含めて、総額で30万円程かかってしまいました。

おかしなことに「合同会社」から「株式会社」へ組織変更をする方が、新たに「株式会社」を設立するより費用が高くなってしまうのです。

また変更にかかる時間は、約1カ月以上(債権者がいる場合はさらに長くなる)と思っておくとよいでしょう。

③「出資者の力関係が対等」なのは、メリットでもありデメリットにも取れる

合同会社の場合、出資者は出資額に関係なく全員平等に一人一議決権を持つ、とお伝えしました。

これは「出資金にかかわらず、平等に会社を運営して行ける」という意味ではメリットにも取れるのですが、これは実はデメリットにもなります。

例えば社員(法律上「合同会社」の社員とは「株式会社」で言うところの役員に相当する)が2人しかいない会社の場合、もし2人の意見が対立すると決議ができず、業務がストップしてしまう可能性があります。

社員が1人の場合では関係ない話ですが、社員の人数が偶数の会社では注意が必要です。

法人化するなら基本的には「株式会社」を選ぶべき! 設立費用だけで見ると失敗する!

今回は「株式会社」と「合同会社」の違いを見てきました。

最初にお話しした通り、結論としては法人化するなら「株式会社」を設立することを強くお勧めします。
設立費用約14万円の差やランニングコスト以上に、「合同会社」を選ぶことによるデメリットは多いというのが現状です。

もしあなたが立ち上げたい法人が、

・会社経営も会社に対する出資も、全て自分1人(もしくは親族のみ)で行っていくつもり
・借り入れも必要なく、飲食店やサロンなど「会社としての看板」を外に出さない
(会社としての名前ではなく、例えば◯◯美容室、◯◯商店といった屋号の方が目立つ経営をする)

のであれば「合同会社」の選択肢も十分考えられます。
法人を設立する際は、今回お伝えしたメリットとデメリットを加味した上で「合同会社」か「株式会社」か、もう一度よく検討してみましょう!

文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介


<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

元記事はこちら
アントレSTYLE MAGAZINE
https://entrenet.jp/magazine/25823/
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